主にライブのメモとか。

お笑いライブや音楽ライブのレポと感想を中心に。いいブログタイトルが思いつかない。

2018年4月3日「火花ーGhost of the Novelist」

2018年4月3日(火)
 
舞台火花を観てきた。言わずと知れたピース又吉さんの芥川賞受賞作。小説は芥川賞を取った頃に読んで、ドラマはNHKで放送されたものを見た。と言っても濃厚で見るのにエネルギーがいるから4話くらいまで見て長いこと放置していたけど。この舞台の直前に最終話までいった。映画は未視聴。
観に行こう、と思ったのは作品どうこうよりもノンスタ石田さんが出演するからという理由が大きかった。でも好きな物語、というか若手芸人のファンをやっていた立場からすると刺さる話だから思い入れのある大切な作品。ただドラマが小説の空気感を感じられる名作だっただけに舞台だとどうなるのか、という不安もあった。
 
熱海殺人事件以来の紀伊國屋ホール。ロビーにはたくさんのお花。熱海のときはお花はスペースの関係でお断りでロビーには全く置かれていなかったのに、今回はずらっと並べられていた。制作に熱海と同じくRUPも入っているのにどういう違いなんだろうか。
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ドラマ版で徳永を演じた林遣都さんからのお花に作品愛を感じる。
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写真撮り損ねたけど観月ありささん宛に松下由樹さんからお花が来てたのザ芸能人!って感じでテンション上がる。
 
 
 
この話を描くには2時間では足りないというのが正直な感想。具体的にあのエピソードがカットされてた!ひどい!みたいなことではなくて、10年間という長い年月というか空気感というか、そういうものはやっぱりドラマのほうが描ける。でもこれは観る前から予想済み。
ちょっと残念だったのは同世代のピン芸人鹿谷のエピソードが中途半端に思えたこと。この舞台で初めて火花の物語に触れた人には伝わったのか?と心配になった。あれは原作を知ってる人でないとわからなかったんじゃないかな。売れる/売れないの違いってなんなのだろう、という若手芸人ヲタをやっていた身としては刺さるエピソードで思い入れがあるからもっと描いてほしかった。
 
舞台化にあたって1番不安だった観月ありささん主演、原作者の又吉さん出演の点は全然問題なくすごくよかった。観月さんは又吉さんに「どうしてこの小説を書いたのか」を問う女優の役でもあり、神谷の同居人役でもあり。そのあと出てくるもう一人の女性役でもあり。全体的な役割としては小説の一節を読んで話を進めるストーリーテラーと言えばいいのかな。でもこのストーリーテラーは物語の結末を知らずに観客と一緒に小説を読み進めているというちょっと変わった存在でもある。観月さん、又吉さんのいる「現実世界」と徳永や神谷のいる「小説世界」があって、その2つはときどき交わる。観月さんが「現実」から「小説」の中に入るんだけど、舞台だと違和感なく見ることができるのがおもしろい。映像だったら出来ないということもないけど、かなりの確率でダサくなると思う。
原作を忠実に作ったのがドラマ版なら、舞台版は物語を再構成して作者というメタ要素を入れて、伝えたかったメッセージを強調している。同じ方向性で作ったら映像には勝てないから舞台ならではの形にしたのはすごく上手いと思う。
 
徳永と神谷は特段演技がどうとかという感想はないかも。それは違和感なく見れたという意味でもあるので植田さんと石田さんのことは褒めているつもり。ドラマ版のキャストがベストすぎるのだけど、舞台版の二人にイメージと違うという印象は持たなかったし、観ていて自然だった。
 
2回目の記事でもう少し内容に踏み込んだ感想を載せる予定。
 
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